2016年12月5日月曜日

大人のファンタジー

理事長の中村嘉孝です。

先日、ニューヨークで生殖医学関係のセミナーがあり、参加してきました。着床前診断で染色体異常があっても、不思議なことに、そのまま胚移植したら結構な割合で元気な子どもが生まれます。受精卵が細胞分裂を繰り返して胎児になるわけですが、最初のころの細胞分裂ではエラーが起こりやすく、染色体異常の細胞が混じる。つまり着床前の胚は、正常と異常の細胞がモザイク状になっているわけです。そして、異常の細胞が淘汰されていって、やがてモザイクからすべて正常に変わっていきます。だから着床前診断に取ってきた細胞が異常でも、生まれてくる子どもには何もないのですね。

セミナーでは、モザイクがどのようにして起こり、どの部分から淘汰され、いつ頃までに正常に戻っていくのかを蛍光染色ではっきりと示した画期的な研究成果のプレゼンテーションがありました。もちろんモザイクが多いこと自体は数年前から知られていたのですが、少しでも正常でなければ胚移植すべきではない、という考えが支配的でした。メカニズムがわかり、モザイクだからよくない訳ではない、と言い切れるのに随分と時間がかかりました。









プレゼンテーションをしたのは女性の研究者でした。自分自身がモザイクの胚で妊娠した方で、最後のスライドは、元気な男の子の現在の姿でした。

街ではクリスマスの準備が始まっていましたが、ニューヨークを舞台にしたクリスマスの映画は数多くありますが、中でも『34丁目の奇跡』はよく知られた作品です。

「サンタはいない」と娘に教えているシングル・マザーの前に、「自分はサンタ」という老人が現れる。老人に徐々に心を開いていく娘。しかし、老人は精神病院に入れられる。老人を救い出そうと、彼女に思いを寄せている弁護士の助けを借りて「サンタは実在するか」を争う前代未聞の裁判が始まる・・・。

「本当はサンタがいる」というストーリーは、どうしても子ども向けの映画になりがちですが、恋愛もからめた上質な大人のファンタジーに仕上がっています。

帰りのJFK空港の保安検査場にも、サンタクロースがいました。フィンランドに帰るところなのでしょうか、驚く周囲の客に、少し早いクリスマスの祝福をしていました。その光景をみているセキュリティのスタッフたちも微笑んで

・・・というわけはなく、激怒していました。

「この忙しいのに、しょうもないことしやがって」
トランシーバーで3人ほど追加のセキュリティ・スタッフが呼ばれ、厳重に検査が行われていました。裸になってやっと検査を通ったサンタクロースは、上機嫌で後ろを振り向いて手を振りながら、ゲートに向かって去って行きました。










大人のファンタジーって、なかなか難しいですね。日本へ向かう飛行機が動き出した、ちょうどその時、窓の外に雪が舞い始めました。今年の初雪だったようです。

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2016年11月28日月曜日

インタビュー

医師の田口早桐です。

1124日木曜日、銀座院で健康情報サイトFYTTEさんの取材を受けました。FYTTEといえば、1989年、フィットネスブームのさなかに創刊された、ダイエットや健康に関する記事のみで構成された雑誌で、私も時々買って読んでいました。それが今年の3月に休刊になり、現在はオンライン版のみとのこと。時代とはいえ、少し寂しいですね。

取材の内容は、妊活についてですが、詳細は楽しみにしておいていただくとして、当日の東京は、雪。11月の雪は54年振りとのことでしたが、取材を終えた帰り、あまりに寒く、手がかじかんで仕方ないので、思わず有楽町駅前の丸井でワゴンセールをしていた手袋を購入。ホッとしながら建物を出たところで、テレビクルーにマイクを向けられました。

「めざましテレビです。紅白の出場者のリストが今日発表になりましたが、このリストを見て、どう思われますか?」

うーん。さっきまでの不妊や妊活に関しての質問ならすらすら答えていた私ですが、これにコメントするのは、とっても難しい。とっさに出たのが、「大竹しのぶさんが、出場ですか・・・、何を歌うんだろう。」

我ながらイケてないコメントだなあ、と落ち込み、多分ボツだろう、と思いながら、それでも翌日しっかり録画して、チェックしてしまいました。


はい、一応採用されていました。良かった。














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2016年11月17日木曜日

田口ドクターが『マイナビニュース』の取材を受けました

事務部よりお知らせです。

田口早桐先生が、『マイナビニュース』の取材を受けました。

“妊活・不妊治療の前に知りたいこと、不妊治療経験者の産婦人科医が答えます”
http://news.mynavi.jp/articles/2016/11/16/ninkatsu/

ぜひご覧くださいませ。














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2016年10月25日火曜日

NHKクローズアップ現代+放送されます。“老化”を止めたい女性たち~広がる卵子凍結の衝撃~

事務部よりお知らせです。

NHK『クローズアップ現代+』で「卵子凍結」について船曳美也子先生が取材を受け、
オーク住吉産婦人科が紹介されます。
10月26日(水)22:00~の放送ですので、皆様ぜひご覧ください。

http://www.nhk.or.jp/gendai/schedule/#p3882














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2016年10月18日火曜日

「あいちARTを語る会」で講演をさせていただきました

医師の田口早桐です。

先日、名古屋で行われた「あいちARTを語る会」で講演をさせていただきました。今回の会は生殖医療に関わる女医さんたちばかりの会で、私の講演のタイトルは「卵子凍結の適応と技術的課題」です。私の講演の前には医療法人成田育成会 セントソフィアクリニックの伊藤知華子先生による、ホルモン補充周期による融解胚移植の際の黄体ホルモン膣剤単独使用と経口と併用の比較、に関する講演がありました。

少人数の会でしたが、皆さんベテランの女医さんばかりでいろいろ情報の交換もでき、有意義な時間を過ごすことができました。残念だったのは、私がその日中に大阪に帰らなければならず、講演後の懇親会でゆっくり出来なかったこと。着席式だったのですが、時間のない私に合わせて凄いスピードで料理が出てくるので思わず「すみません・・・。」と謝ると、「何言ってるの、私たち、産婦人科医よ!食べるスピードはふだんからめちゃくちゃ速いから大丈夫!」とのお答え。確かに皆さん、かなり早食いの私でも感心するスピードでした。


今回お会いした名古屋の先生方はとても温かく、ユーモアたっぷり。懇親会のときにさりげなく話されていた普段の症例についてのお話も、とても参考になりました。また機会あれば是非参加させていただきたいなあ、と思いました。














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2016年10月11日火曜日

カメラと小籠包

理事長の中村嘉孝です。

訳あってデジタル一眼レフが要るようになり、何を買ったらいいのか、ずっと迷っていました。

カメラにはプロより詳しいアマチュアもたくさんいて、その方々のブログがとても参考になりました。最初はメーカーの名前とか書かず、D750とかα7とか当然のように型番で書かれているし、光学の専門用語が飛び交っているので難しかったのですが、やっと何のことを書いてあるのかわかるようになりました。

しかし、読めば読むほどこの趣味の世界は驚くほど奥が深く、最新機種を全て試している人もいれば、フィルム時代のクラッシックカメラを愛好する人もいる。超望遠レンズで野鳥だけを取り続けている人もいれば、照明器具一式を揃えてアニメコスプレばかり撮影している人もいます。

すごい人になると、SNSに食事の写真を載せるだけに毎日一眼レフを持ち歩くとか。おかげで、大変勉強になりました。その中で一番目から鱗が落ちたのは、プロ向けの超高級カメラの方が、一般向けのものより画素数が少ないということ。

最初は何を言っているのか理解できなかったのですが、だんだんと次のような理由だということがわかってきました。

一画素の素子の表面が100%使えて、全く隙間なく並べることができるのであれば、小さい素子がたくさん並ぶほどいいはずなのですが、実際の素子には受光できない部分があります。

これは素子が大きくても小さくても同じサイズなので、同じ面積に撮像素子を小さくして詰め込むと、その部分の割合が大きくなってロスが増え、かえって画質が落ちる。なので、センサーの面積と画素数には最適のバランスがある。

唐突な喩えですが、いうなれば肉まんと小籠包みたいな関係でしょうか。あまりに小籠包を小さくしすぎると、肉まんと同じ量を並べても皮の味しかしなくなります。あまり上手な説明ではないかもしれませんが、お分かりいただけるでしょうか。

さて、この画素数の問題。もちろん、メーカーはそんなことは十分にわかっているのだけれど、実際には「世界最高、画素数」などという広告の方が売れてしまうから仕方ない、ということでした。

実に残念なことですが、体外受精の世界でも同じことがあります。どうしてもマスメディアに出る「新しい技術」を信じてしまいがちですね。もしろん、不妊治療の世界でもプロより詳しい患者さんはおられてブログを書かれている方もおられます。しかし、それでも圧倒的に情報が少ない世界です。私どもも、ブログなどを通じて、もっと技術的な情報を提供できればと思っています。

また、「K30の被写界深度は・・・」とかいうようなカメラのブログのように、どうしても高度に専門的な領域というのは説明が難しいのですが、できるだけ喩えなどを工夫してわかりやすくお伝えできればとも願っています。

ちなみに、私には551の皮は少し厚すぎるように思っています。














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2016年9月26日月曜日

欧州ヒト生殖医学会が主催するセミナーに参加しました

理事長の中村嘉孝です。

オランダは不思議な国です。英語でもHollandと呼ばれたりNetherlandと呼ばれたり、オランダ人の事はDutchで、それぞれイメージが違って、ややこしいですね。

オランダと聞くと風車とチューリップの牧歌的な農業国のイメージなのですが、その歴史ある王国の首都のアムステルダムと聞くと、まるで印象が違います。

大麻が合法で、街中のあちこちにある「コーヒーショップ」でマリファナを吸っている客の姿があり、また、カジノ、売春はおろか安楽死も合法で、ゲイ、レズビアンの聖地という究極のリバタリアニズムの国際都市というイメージですね。

今、アムステルダムで開かれていた欧州ヒト生殖医学会が主催するセミナーの帰途にあります。
ドナー卵への核移植、幹細胞から作成する精子と卵子、ゲノム編集など議論の多い新しい生殖技術についてのセミナーで、まことにアムステルダムにふさわしい内容です。銀座の開業前の忙しい時期ですので時間的に無理と諦めかけていたのですが、一泊で帰る最短スケジュールで参加でき、とても良かったです。

一番面白かったのはベルギーの生命倫理学者の話で、レズビアンカップルの一方の卵子をドナー精子で受精し、その胚から精子を作ってもう一方の卵子を受精させれば、カップルのそれぞれが子どもと25%遺伝的に繋がることができます。

今まで考えつかなかった視点で、日本で聞くと違和感のある話でも、アムステルダムの街で聞けば「あっ、そうなんだ」と思えるだけで不思議です。新しい技術の受容というのは、結局は慣れの問題なのだと改めて思いました。










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