2016年3月15日火曜日

米国遺伝医学会に参加しました

理事長の中村嘉孝です。

米国遺伝医学会に参加するために、フロリダ州のタンパという街に行っていました。その前に別のセミナーでブリュッセルにいたのですが、冬のブリュッセルから夜半にフロリダに着き、一夜明けたら、もう夏でした。

遺伝医学全般についての学会ですが、生殖遺伝も大きなウェイトを占めています。生殖関連だけのセッションもあり、PGS着床前遺伝スクリーニング)とNIPT(新型出生前検査)が話題の中心でした。

NIPTについては対象になる染色体の数が増えてきていますが、いずれにしても限られた内容のスクリーニング検査です。公衆衛生的な見地からすれば費用対効果に優れた検査ということになるのですが、個人として論理的に考えるとNIPTではなく羊水検査を選択すべきだということになります。

以前、ボストンであったNIPTのセミナーでは、ニューヨークの産婦人科医が「きちんと説明したら70%が羊水検査を選択する。」と発言し、それに対してコロラド州の産婦人科医から「それはニューヨークの女性だからだ」という反論がありましたが、今回はアラスカの産婦人科医から同じ話がありました。

もちろん私は、当院の患者様がニューヨークの女性と較べて論理的でないとは思いませんので、羊水検査をお勧めしています。











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2016年3月7日月曜日

卵の成熟

理事長の中村嘉孝です。

卵子の成熟についてのセミナーのために、ベルギーのブリュッセルに来ています。卵子は生まれた時からずっと細胞分裂の最初の段階で止まったまま、思春期を迎えます。そして排卵が始まると、その月に排卵する卵だけが細胞分裂を再開します。つまり20才で排卵する卵は20年間、30才で排卵する卵は30年間、眠ったままでいます。そして細胞分裂が再開して受精できるように準備が整うのですが、そのプロセスを「成熟」と呼んでいます。この卵の成熟の複雑な分子生物学的メカニズムが、近年の研究でだんだんと明らかになってきています。

未熟な卵を体外で成熟させる方法を「体外成熟=IVM」といいますが、卵の成熟のメカニズムの解明が進むことでIVMの技術の向上が期待されます。IVMは普通、多嚢胞性卵巣などhCGを打つことができない症例で、意図的に未成熟卵を採卵して行います。しかし弊院では、通常の卵巣刺激で採れる未成熟卵に対しても「レスキューIVM」を行っています。「未成熟卵はまず妊娠しないから」と廃棄されることが多いのですが、弊院では実際にレスキューIVMで出産していますし、採卵数の少ない方には、一つ一つがとりわけ貴重な卵です。手間もかかって大変ではありますが、画一的な対応をすべきでないと考えています。そして、更なる技術の向上のために研究開発を続けています。

さて、私は普段は朝食を食べないのですが、出張のときのホテルの朝食バイキングは楽しみにしています。卵料理が充実していて、スタンドがあって茹で時間を選べたりすると特に心が躍ります。トロトロの半熟が好みなのですが、今回のホテルの茹で卵は一種類だけで残念です。できれば、画一的でない対応を望みたいところです。ちなみに3年前に行ったチュニジアのホテルでは茹で時間が7分、9分、11分のものが置いてありました。喜んで三つとも食べてみたのですが、なぜか全部同じ固さでした。こちらも、さらなる技術の向上に期待をしたいと思います。