2017年10月18日水曜日

胎児異常の診断

理事長の中村嘉孝です。先月、ウィーンで開かれていた、ISUOG(国際産婦人科超音波学会)に行っていました。 不妊治療のゴールは無事に元気な子どもが産まれてくること。最近は機器の精度も上がって画像がとてもよく見えますし、妊娠初期の超音波でどんなサインがあるときに胎児に異常が出てくるのかも、段々とわかってきました。 一方で、染色体の異常についてはNIPT(新型出生前診断)が盛んになっており、もう染色体異常については超音波検査の出る幕はないのでは、とか、あるいはNIPTとどう組み合わせるべきか、など超音波の学会でありながら遺伝関係のセッションが数多くありました。 ただ、これらの議論を聞いていていつも思うのは、公衆衛生的観点から話をしているのか、個人としてベストの治療の話をしているのか混同されている場合が非常に多いということです。 また、学会の規制なども影響し、PC(ポリティカル・コレクトネス=ポリコレ)への配慮でごまかしがあったりして、論理的に考えておかしなことがまかり通っています。 例えば、日本では胎児の異常を理由とした中絶は法的にしてはならないことになっており、なにかと言えば「命の選別につながる」という論理を持ち出す学会が、なぜかNIPT(新型出生前診断)の団体(コンソーシアム)を作っており、他の施設がするのはまかりならないが、その団体がするのはよろしい、ということになっています。 本当のところは、一種の『利権』のようなものだと私は思っているのですが、「安易になされてはならない」とか「充分なカウンセリング体制が必要」とかポリコレにかこつけた説明がなされています。 しかし、胎児異常の診断を論理的に考えるとNIPTでカバーできる領域は半分もありません。超音波検査で遺伝疾患以外の異常もカバーし、遺伝検査では羊水で精密な遺伝検査をするというがベストの選択のはずです。 例えば、羊水での遺伝検査は急速な勢いで進んでおり、染色体の微小な欠損のみならず、Whole Exon Sequencingといって、遺伝子レベルでのスクリーニングも行われるようになっています。本来はこの違いを強調して、NIPT の限界を伝えるべきだと私は思うのですが、民間企業の主導による現在の技術の進歩について説明をして薦めることは、なぜかポリコレ的には「よくない」ことで、むしろ、その信頼性を疑う発言がポリコレとしては「正しい」のです。 また、超音波下での羊水穿刺によって起こる流産率は極めて低く、統計的になにもしない場合の流産率と変わらないことが近年の調査で知られていますが、なぜか昔の論文にある300分の1という数字をわざわざ持ち出してきて、この確率以下なら羊水穿刺をするメリットがないので、NIPTでスクリーニングをすべきだ、などという極めて珍妙な議論が学会でなされています。300分の1で胎児異常を見逃してしまうことと、300分の1で流産してしまうことと、一体、何の比較になるのでしょうか? まあ、社会は論理で動かず、角を立てずに時代に流されながら生きていくのが人生というものではありますが、自ら生殖については妥協をすべきではないと私は思いますね。ポリコレの言説に絡め取られることなく、自分にとって真に意味のある選択をされることを願っています。 弊院では積極的に胎児診断に取り組んでいます。この度、オーク住吉産婦人科にGE社のVoluson E10 という超音波診断装置を導入しました。最新鋭の機種で、正直、いい値段がするので購入を迷っていたのですが、最終の検討のつもりで今回の学会に参加しました。 Voluson E10 による診断技術について各国からの発表を頑張って勉強した上でGE社の展示スペースに出向いたのですが、ウィーンの学会になぜか日本の営業担当者がいて、最後は「お値段も頑張って勉強しますから」ということで、購入となりました。
















船曳ドクターが書籍を出版しました

事務部よりお知らせです。

当院の船曳美也子ドクターが、10月5日に「あなたも知らない女のカラダ 希望を叶える性の話」(講談社)を出版しました。

妊娠、出産、不妊治療、閉経、体外受精などの最先端医療について、すべての世代の女性に知っていただきたい内容だけでなく、男性にも、女性の身体への理解を深めていただける内容になっています。
次のWebマガジンでも、船曳ドクターのインタビューとともに、書籍が紹介されました。

クーリエ・ジャポン
https://courrier.jp/news/archives/99522/

おとなスタイル
http://otona-stylemag.com/posts/living/19112.html

当院のフロントや、全国の書店、Amazonなどで好評発売中です。
ぜひご一読ください。















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